— Blog —

♪弘法筆を選ばず

最近電子楽器での演奏が多かった為どうしても力が入りすぎて腕が痛い。楽器が無いと仕事にならないので電子楽器でも有難いのだけれど、自分の楽器で演奏出来る人が羨ましい。でもどんな楽器でも最高のパフォーマンスができるのがプロであ〜る!演奏歴だけは百戦錬磨、まあ色々な本番を経験しました。その中でも忘れられない本番ベスト3は…

☆奈良某大学100年前のアップライトピアノ

権威ある博士のお話を交えながらのソプラノとピアノのコンサート。
レトロな大学のホールに相応しい佇まいの100年前のアップライトピアノ。素敵な彫刻が施してある譜面台、両脇に燭台がセットされていてモーツァルトの小品等をサロンで楽しんでいたのだろうなと思わせる。雰囲気を出すためにホールの明かりは最小限にして蝋燭に灯をともし、会はムードたっぷりで始まった。
暫くすると、なにやら鍵盤に落ちてくる。
……あつっ‼️…熱いやん⁉️…なんと、蝋燭の蝋が垂れて鍵盤に落ちてくるではありませんか‼️
ちょっと待って!まだ始まったばかりなのにどうするの?ソプラノ歌手はそんなことお構い無し、次の曲を早く弾けとばかりに合図を送ってくるし、アルペジオ弾く度に蝋を避けないといけないし、もう演奏どころではなくなってきた。脳は蝋を避けることに集中し、指は反射的に動き、会は滞りなく終演し、気が付くと鍵盤が蝋だらけになっていた。

後日談、鍵盤にびっしり付いた蝋が取れなくて大変だったらしい💦

☆平城京炎天下の舞台

5月と言えども屋根の無い舞台は灼熱の太陽が照りつけ、おまけにその日は突風が吹く最悪のコンディション。大きなイベントでの演奏でお客様もたくさんいらして、演奏家としても光栄な仕事ではあったけど、今のように熱中症に対する意識は低かったのかもしれない。バイオリンとチェロの奏者は自分の楽器を炎天下に晒すことは出来ないので急遽安い楽器を借りて演奏。私は電子ピアノ。ドレスの上に日焼け止めのカーディガンを着て、手も日焼け止め手袋(指の出るタイプ)を着用。突風対策で楽譜は一曲毎にガムテープで押さえ、譜面台も飛んでいく勢いだったので大きな石で固定し、万全の構えで挑んだ。さて。一曲目の前奏を弾くや否や、あつっ‼️……熱いやん⁉️……またこれか!鍵盤が太陽熱で沸騰してるのかと思う位熱かった❗
そして、突風が吹く中必死で次の曲を用意し、ガムテープで押さえ、暑さと闘うこと30分、そろそろ終わりが見えてきてほっとしたのも束の間、いきなりの突風が~(>_<)楽譜を吹き飛ばし、慌てた私は指が変な所を押したのかいきなり電子ピアノのメトロノームが作動し、スピーカー越しに大音量で平城京に響き渡り、それはまるで新喜劇の顛末のような光景で。チャンチャン。 ☆平城京3・11レクイエム またもや平城京。その日は豪雨。車で会場に向かう途中、目の前に稲光が。きっと中止よね。だって豪雨だし、おまけに雷が電子ピアノに堕ちたらどうするの?そんな動揺を感じながら会場に到着。幸か不幸か、雨は止み、鎮魂のためのろうそくに火が灯され(ろうそくは私の鬼門)演奏を待つのみ。着替え用のテントに入ると下は水浸し。スタッフの方が「すみません💦着替えはこの上でお願いします」と、会議用の長机を指差した。へ?この上に乗るの?あとにも先にも机の上で着替えたのはこの時だけだな(笑)。さて。東北の皆様へ少しでも思いを伝えたい一心で祈りのコンサートが始まった。その日は3月11日でものすごく寒い日だったのでドレスの上に寒さ対策のカーディガンを着て、手には手袋(指の出るタイプ)。前奏を弾き始めると……つめたっ‼️冷たいやん⁉️なんと鍵盤の上に氷が貼り付いたように冷たい。指から伝わるあまりの冷たさに段々体が反応して手がかじかみ、アルペジオはもはや手のひら全体でだまのようになり、唇は寒さで震え、脳は常夏のハワイを想像しながらの渾身の演奏。 演奏家というものはアスリートであると私は思っている。精神力と体力がなければ務まらない。 やれやれ。しかし、どれも今となっては笑い話。誠心誠意与えられた仕事をするのみ。